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パンズ・ラビリンス感想 現実と幻想それぞれの世界のダブル主人公

gyao.yahoo.co.jp

twitterのTLでおすすめされていたのを見て視聴。

ダークファンタジーだけかと思いきや、なんかもっといろいろあるぞと思ったのでちょっといろいろ書く。

ざっくりまとめ

辛い現実から自分の想像力でハッピーエンドを選んだ主人公オフェリア

辛い現実をしぶとく生き抜いてハッピーエンドを掴みとったメルセデス

 

あらすじ

スペインのファシストレジスタンスが争う時代。

身重の母とともに、新しい父親ヴィダルのいる戦地へ行く主人公オフェリア。

ヴィダルはその戦地においてファシスト側で最も偉い大尉。

他の人には見えない幻想世界を見るオフェリア。

そこにあった迷宮で迷宮の神パンに出会い、満月の晩までに3つ試練を与えられる。

1つ目はイチジクの木に救うカエルの腹の中の鍵をとってくること。

→無事に取り出すことができた

2つ目は砂時計の砂が落ちきるまでに、子供を喰うペールマンの宴の部屋から鍵を使って短剣を取り出すこと。宴の食事を食べてはいけない。

→無事短剣を取り出すことができたが、目玉が外され、眠っているペールマンに油断し、ブドウ2粒だけならとたべてしまう。ペールマンに追われるもなんとか逃げ出す。

約束を破ったことでパンから見放される。母親は弟の出産で命を落とす。メルセデスレジスタンス側だと見抜いたオフェリアは、逃げようとするメルセデスに連れて行ってと懇願し、一緒に逃げるも、共に捕まってしまう。打ちひしがれているオフェリアにパンはオフェリアに最後のチャンスとして、3つ目の試練を与える。

3つ目は無垢な血を差し出すこと。生まれたばかりの弟の血をパンに数滴さしだすこと

→ヴィダルに薬を盛り、弟をさらってパンのもとへ行くが弟を差し出すことを拒否。(初めは弟を連れて来いとだけ言われ、血をとられることは聞かされていなかった)パンは失望して消える。弟はヴィダルが引取り、主人公はヴィダルに射殺される。しかし、無垢な子供ではなく自分の血をさしだしたため、試練は達成されたとみなされ、父と母とパンのいる地底世界に行くことができた。

並行して進む現実世界。

ファシストレジスタンスで、弟とともにレジスタンス側でありながらファシスト側でヴィダルの世話をするメルセデス

軍の備蓄を盗み出し、レジスタンス側にまわしていた。ヴィダルにスパイだとバレて、一度オフェリアとともに逃げるも捕まってしまう。仲間と同様に拷問されかけるが、隠し持っていたナイフで抵抗し、逃げる。そのまま、レジスタンス側の援軍と合流し、ファシスト側を打ち倒す。メルセデスは最後に、オフェリアから息子を取り戻したヴィダルからその息子を受取り、ヴィダルが射殺されて終わる。

 

感想

単純にナルニア国物語が暗くなったようなものを想像していたんだけど、全く違った。

試練が、直接何かと戦うとかいうような単純なものではなかったから、けっこう暗喩とかがある作品だと気づいて、主人公に重きを置いて見ていた。

試練1のオフェリアは、泥や虫で煩わしい中を、思っていたよりは気持ち悪がらずに這い進んでいたことや、カエルを虫を食べることに気づき、挑発して鍵を吐かせることに成功したことで、強いし賢いんだなあと思った。

試練2のペールマンの造形がけっこう好き。毛のない肌色の皮膚をしていて気色悪いのだけども、手に目がついていて頭部に手をあてがうのがすこしかわいいかんじに見えてしまって待ち受けにしようかなと思った。あと、手に目があるので攻撃ができなさそうなのと、動きが鈍かった。オフェリアを案内した妖精を食いちぎるところ(そういえばマミってた!)もそこまで気持ち悪いように見えなかった。でもオフェリアが追われている最中はハラハラしていた。主人公が閉ざされた扉から新しい扉に入るときに足をつかんだりしなかったから、そこまで重要なファクター(?)ではないのだろうなと思った。

主人公にはらはらしながら見ていた、パンに見放されてからの主人公が切ない。試練1のような機転の利く感じがなくなってしまっていたのは、そういう状況だったからかなあと思っている。あと、あらすじには書いてないところなんだけど母親の台詞「あなたはもう子どもじゃない」っていう台詞がちょっと応えた。

主人公に重きを置いていたから、ファシスト側対レジスタンス側のやりとりがまどろっこしく思えてしまった。そっちはそっちでスリルとサスペンスな感じはあるんだけど。途中メルセデスが逃げ切り弟と再会したシーンで、メルセデスも主人公だったのではないかという考え方がわかってすっきりした。

あとグロいの得意じゃないけど見れるんだけど、得意じゃないから好みじゃなかったら途中でやめるんだけど、実際物語面白かったし、キャラクターそれぞれ魅力的だし、主人公の女の子がとてもかわいかったです!!!!!

 

考えたこと(いろいろ見つつ自分の書きたいところだけ)

ファシスト側で最も偉いヴィダル。美しいオフェリアの母親を仕立屋のオフェリアの父親から寝とったり、臨月の妻をわざわざ自分のいる戦地に出向かせたり、(歩けるという妻を優しい夫を演出するために車いすに座らせたり?、)時間が遅れることを気にしたり、髪を念入りにおさえつけ丁寧にひげをそり靴を磨いていたり、異様にサディスティックだったり、悪役の権化だった。(偏見だけど)

この映画でいろいろ対比が描かれている。善と悪。女性と男性。民衆と軍。母親と父親。もっとあると思うけど、ヴィダルはこれの、悪、男性、軍、父親のいろいろな役割全部を担っていた。

あとは、軍人だった父親の死んだ時間を刻んだ時計を持ち、いちいちその時計を気にしている。死ぬとわかった時には、息子に自分の死んだ時間を教えてやってくれと頼む。ひげをそりながら、鏡の自分の首にカミソリで裂くような真似をした。あと、母親や娘よりも息子を第一に考えていた。息子には自分の名前をつけるんだと言っていた。父の死と、自分の死期と、息子と。

息子に自分の名前をつけるっていうのは、自分が死にたくないっていうことだったのだろうか?不死性に憧れたとか?

 

あと、ヴィダルはメルセデスに拷問しようとするも、隠し持っていたナイフで口を裂かれた。あと自分でそれを縫ってた。ヴィダルは特に口が達者だというような描写はなかったと思うのだけど、これに何か意味はあるのかな。あるんだと思うんだけどわからない…

 

オフェリアが新しい父親の元へ向かう最中、身重なのに馬車に長いこと揺られて具合悪くしている母親に、なんでわざわざ本を持ってきたのかと少し皮肉を言われる。そして、吐き気で一度馬車を止めた母親を心配する様子はなく、どちらかというと煩わしそうに見ている。オフェリアは、母親が子供を身ごもっているということよりも、具合が悪いというようにしか見ていないように思ったが、試練2の内容を見ようとした時に、母親が出血した。そのときにオフェリアはようやく顔の色を変えた。でも、その時でさえすぐに母親を助けに行こうとする様子はなく、試練にこだわり、幻想に逃げようとしているように見えた。また、そんな母親の様子をみて「なら、赤ちゃんなんて産まない」と言っていて、女性性からの逃げも見える。

最後にオフェリアは死んだ父と母の待つ地底世界に迎え入れられる、そのシーンの後に現実世界で息をひきとるオフェリアのシーンがある。最後のモノローグで、花を咲かせずに実をつけるイチジクの木に花が開き、オフェリアを導いた妖精が舞っている中「オフェリアは地底世界の王女となり、よく治めた。よく見ればオフェリアの残した後を見つけ出すことができるかもしれない」というようなモノローグが入ってたと思うんですが(確認してない!ごめんね!)、幻想世界はあったんだっていうことよりも、オフェリアはハッピーエンドでしたっていうのを強調したいのだと思った。

 

メルセデスレジスタンス側に入ったわけは作中で描かれていなかったけど、初めにメルセデスレジスタンス側に物資を運んだ時に抱き合ってた男性は恋人なのかと思ったが、弟だった。

物語をシンプルにするために弟にしたのだろうか?

 

中立の立場として、医者と母親がいたのではないかなあと思っている。

ファシストレジスタンスの中立としての、医者。父親と娘の中立としての、母親。

そういえばどちらも、ヴィダルに殺されてるし、殺されているようなものだな。医者は中立なのがバレて射殺される。母親はヴィダルの息子の出産の際に死亡。

どちらかといえば、医者はメルセデス、母親はオフェリアにとっての支えというか、協力者だった。

彼らが死ぬことで物語は大きく動いたように思うから、彼女らが人生を選ぶためのファクターだったのだろう。

 

他の考察で「見る」ことが重要なポイントになってるっていうのを見たんだけど、あんまりピンとこなかった。でも冒頭で、目のパーツを石像にはめるっていうのがあったから重要だとは思うけれども。オフェリアにしか見えない幻想世界っていうのもあったけども、自分の見方次第とかそういう話?(そんなチープっぽくまとめられてたのかわからないし、あんまり興味ないので書かないです)

 

出産は、女性性の強調というよりも、輪廻とかそういう意味を持たせたかったんだろうなと思う。(でもあまり興味ないので書かないです)

 

あと、オフェリアは、言い方悪くすると母親を殺して生まれてきた弟を恨んでたりはしないと思っている。

 

オフェリアはメリーバッドエンドですね。死んだという終わり方は悪く思えるけども、オフェリアにとっては目指していた最後だった。オフェリアは、辛い現実から逃げるためにずっと行動してきている。一度メルセデスと逃げようとしたときも、今この現実ではないどこかへ逃れるための行動だった。いろいろな強すぎる側面(社会とか男性とか現実とか)を持った父親に殺されることで、ようやく現実から逃げられた。

でも、自分より弱い弟、赤ん坊を守るためという自己犠牲で、幻想世界のルールを一応守ることはできたからそちらへ行けたけども、そうじゃなかったらハッピーエンドにならなかったかもしれない。

それに、最後の試練を無視して戦地を逃げ出していたら?メルセデスを待っていたら?

結果論ではあるけども、メルセデスは生き残ることができたし、オフェリアを助けようとしていたわけだから、絶対生きる選択肢はあったのに彼女はそれを選ばなかったんだなあと思うと、切なさがある。

とはいえ、物語全体として見ると、ひどく拷問されて殺してくれというレジスタンスに医者が死ぬための注射を打ったところから、死ぬよりも生きてる方が辛いなら死ぬのもありだという雰囲気はあるのかな。(見てて実際注射打ってもらえてよかったねって思えたし。その後またメルセデスが拷問されそうになったときには医者は死んでいたので彼女はどうなるかとすごくハラハラした。)

 

 

人に見せるような文量と文章じゃなかった…まんま自分用ですね。

最後まで集中して見れたのですが、終始メルセデスってベンツだって脳内ツッコミが入ってたのが悔やまれる。あとスペイン語でタバコってたばこっていうんだなあとか。主人公の女の子、本当かわいいのでできたら追いかけたい。

 

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20160611追記

こんな零細ブログなのに日々誰かから見られているというのに驚いています。

(チキンなので大分びびってます)

後からこれが有名な作品だと知り、そういうことかと納得してました。

ですが、この記事は考察というほどの考察をしていない、無責任な妄想の産物なので、

知ったかぶりが戯れ言を吐いている程度の認識でお願いします。

誤字脱字も恥ずかしくて見れないので直してません、すみません。